鷲ノ木遺跡
わしのきいせき
鷲ノ木遺跡
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鷲ノ木遺跡トンネルは道央自動車道(北海道縦貫自動車道)の森IC - 落部IC間にあるトンネル。工事予定地で発見された遺跡を保全するために掘られたトンネルである。
建設
遺跡の発見
道路建設工事に先立つ埋蔵文化財調査において2003(平成15)年鷲ノ木4遺跡近傍で新たに縄文時代後期前半(約4,000年前)の竪穴式住居・環状列石が発見され鷲ノ木5遺跡と名づけられた。環状列石は南北方向にやや長い楕円形で長径36.9m×短径33.8mの巨大なものだった。北海道においては忍路や音江で発見されている環状列石であるが、大きさはいずれをも上回り道内最大級。また上には駒ケ岳の火山灰が厚く積もり保存状態も非常に良好であった。環状列石は東北でも見られ大湯環状列石は国指定史跡である。鷲ノ木5遺跡は北海道・東北に共通の縄文文化の流れがあったことを示す貴重な存在と評価された。そのため遺跡保全の策としてトンネルが検討された。北海道・北海道教育委員会と建設を手がける日本道路公団の間で遺跡の下にトンネルを設けることにより遺跡を現状のまま保護することに合意したと2005(平成17)年2月17日に発表された。地方財政再建特別措置法で禁じられているため北海道から日本道路公団への財政支援はできず、保存区域を縮小、トンネル区間を短縮、他の事業と連携することで工事費を何とか捻出することとなった。遺跡は翌2006(平成18)年1月26日に国指定史跡となり、現在は「北海道・北東北の縄文遺跡群」として世界遺産への登録を目指している。
トンネル建設工事
遺跡の移設はせず、かつ遺跡にズレが生じないようにする必要があり、土被りはわずか2.534m、オープンカットが許されないことからR&C及びESA工法の併用を選択した。R&C工法はルーフによって地盤を守りながらカルバートを牽引し設置するもので、土被りが薄くても施工できアンダーパス建設での採用が多い。またESA工法とはR&C工法において3個以上のカルバートを設置の際、1個カルバートの推進のために他の2個以上のカルバートが反力を受け止める工法で、これにより外部への影響を軽減できる。カルバートのサイズは巾14.182m、高さ7.367m、長さ46.98mで5分割されている。自動車道でありながら土被りの少ないトンネル施工実績が豊富な鉄道を参考にして変位の許容範囲が決定され毎日1回定点観測を行った。その結果施工中に異常な変位は認められず、最大で10mm程度の沈下で留めることに成功し、その後も安定している。掘削は一部が手掘りにより、1日最大約1.3mの掘進に留まり、完成には1年を要した。