北海道 トンネルwiki

山中

山中トンネルは様似町の日高耶馬渓にある道路トンネルである。蝦夷地の道路開削としてはごく初期のものになる様似山道を始祖とする海岸道路にあるトンネル。旧道では明治大正昭和のトンネルが並んで開口する様を見ることができる。

トンネル誕生前

ここの道の歴史は幕府が東蝦夷地を直轄地とした1799（寛政11）年に始まる。それまでの蝦夷地で道といえば獣道や踏み分け道が当たり前で、それすら無いことも普通であった。この頃ロシアは不凍港を求めて北蝦夷地や千島といった北方地域に度々船を送り、蝦夷地にあっても手中に収めんとすべく動き始めていた。このロシアの圧力から東蝦夷地を防衛するにはあまりに交通が不便であり、特に陸上交通に至っては実用的な道は全く存在しないに等しく、一旦海が時化て船が止まれば何日も交通が途絶する状態であった。そのような窮状を憂いた幕府は、東蝦夷地を直轄地とするやいなや、まず特に難所となるシャマニ（様似）とサルゝ（猿留）の道路開削を始めた。大河内政壽が総督となり中村小市郎がシャマニを、最上徳内がサルゝの工事をそれぞれ担当した。1799（寛政11）年シャマニに完成した道は様似山道と呼ばれ馬がようやく通ずる程度に仕上がったが、それでもこの道は海が荒れている時にのみ使われる迂回路のような存在でありまだ交通の主役というわけではなかった。この山道は修理を繰り返しつつ使われた。

1代目

名称不明
北海道 トンネルwiki ID：855860

 
えりも方坑口

基礎情報
振興局
  日高
振興局
起点
住所 様似郡様似町字冬島
座標 42.081240,143.010321
終点
住所 様似郡様似町字冬島
座標 42.081236,143.010498
図名
20万 5万 2.5万
広尾 えりも アポイ岳
幌満
用途 道路
路線名 国道43号(-1907)
仮定県道南海岸線(1907-1920)
地方費道7号帯広浦河線(1920-)
現況 廃止
倉庫化

 
総幅員
=(N/A)
中央高
=(N/A)
有効高
=(N/A)
覆工 素掘り
舗装 未舗装
照明 無し
換気 自然
非常用
設備		 無し
名称不明
北海道 トンネルwiki ID：575382

 
坑内

基礎情報
振興局
  日高
振興局
起点
住所 様似郡様似町字幌満
座標 42.080459,143.015819
終点
住所 様似郡様似町字幌満
座標 42.080388,143.016034
図名
20万 5万 2.5万
広尾 えりも アポイ岳
幌満
用途 道路
路線名 国道43号(-1907)
仮定県道南海岸線(1907-1920)
地方費道7号帯広浦河線(1920-)
現況 廃止
浦河方：開口

 
総幅員
=(N/A)
中央高
=(N/A)
有効高
=(N/A)
覆工 素掘り
舗装 未舗装
照明 無し
換気 自然
非常用
設備		 無し

1886（明治19）年北海道庁の発足と共に各所の道路整備が進められ、猿留山道下の海岸道路整備が一段落した1891（明治24）年から様似山道下の海岸道路も着工した。数箇所では矢来を組んで中に石を詰め、海へ突き出た岩は発破で除去するかトンネルを穿った。トンネル工事は浦川村ウロコベツ（現在の浦河町常盤町）の石工田中五作が請け負い、全部で11箇所のトンネルが完成した。山中トンネルの付近には2本のトンネルが現存する。これによって完成した海岸道路はまだ馬車こそ通れなかったものの従来の様似山道に代わり人馬の通行を支えた。

2代目

めなしとまりだいにごう
目無泊第2号
北海道 トンネルwiki ID：365324

 
浦河方坑口

基礎情報
振興局
  日高
振興局
起点
住所 様似郡様似町字冬島
座標 42.081375,143.010262
終点
住所 様似郡様似町字冬島
座標 42.081379,143.010423
図名
20万 5万 2.5万
広尾 えりも アポイ岳
幌満
用途 道路
路線名 地方費道7号帯広浦河線(-1954)
2級国道236号帯広浦河線(1953-)
工事費 不明
竣工 1924（大正13）年
現況 廃止
開口
延長 10.00m

 
総幅員
=4.00m
車道幅員
=(N/A)
中央高
=(N/A)
有効高
=4.00m
建築限界高
=(N/A)
覆工 素掘り
舗装 未舗装
めなしとまりだいさんごう
目無泊第3号
北海道 トンネルwiki ID：223004

 
開削された跡地

基礎情報
振興局
  日高
振興局
起点
住所 様似郡様似町字冬島
座標
終点
住所 様似郡様似町字冬島
座標
図名
20万 5万 2.5万
広尾 えりも 幌満
用途 道路
路線名 地方費道7号帯広浦河線(-1954)
2級国道236号帯広浦河線(1953-)
工事費 不明
竣工 1924（大正13）年
現況 廃止
開削
延長 17.00m

 
総幅員
=4.00m
車道幅員
=(N/A)
中央高
=(N/A)
有効高
=3.70m
建築限界高
=(N/A)
覆工 Co
舗装 未舗装
めなしとまりだいよんごう
目無泊第4号
北海道 トンネルwiki ID：944970

 
開削された跡地

基礎情報
振興局
  日高
振興局
起点
住所 様似郡様似町字冬島
座標
終点
住所 様似郡様似町字冬島
座標
図名
20万 5万 2.5万
広尾 えりも 幌満
用途 道路
路線名 地方費道7号帯広浦河線(-1954)
2級国道236号帯広浦河線(1953-)
工事費 不明
竣工 1923（大正12）年
現況 廃止
開削
延長 5.00m

 
総幅員
=4.00m
車道幅員
=(N/A)
中央高
=(N/A)
有効高
=3.60m
建築限界高
=(N/A)
覆工 素掘り
舗装 未舗装

1920（大正9）年、道路構造令が成立し、道路の基本的な規格が定められた。地形の険しさからこれを満たさない箇所が多かった日高耶馬渓の道路は改修を余儀なくされ、1926（大正15）年に鵜苫川から東方向に道路の改修を始め、1927（昭和2）年には様似山道下の冬島から幌満の海岸道路も馬車も通ずる道となった。この修築は天然石とコンクリートを巧みに利用したと伝えられる。トンネルは合計6本掘られ、山中トンネル旧道には目無泊第2号、目無泊第3号、目無泊第4号の3本があった。目無泊第2号は下記の山中第2トンネル(TID611981)隣に現存し、他の2本はオープンカット済みである。

3代目

やまなかだいに
山中第2
北海道 トンネルwiki ID：611981

 
えりも方坑口（右）
左は目無泊第2号

基礎情報
振興局
  日高
振興局
起点
住所 様似郡様似町字冬島
座標 42.081853,143.009908
終点
住所 様似郡様似町字冬島
座標 42.081459,143.010503
図名
20万 5万 2.5万
広尾 えりも アポイ岳
幌満
用途 道路
路線名 2級国道236号帯広浦河線(1953-1965)
一般国道236号(1965-1975)
一般国道336号(1975-?)
様似町道山中ルランベツ線(?-)
施工者 北興工業
設計者 室蘭開発建設部
着工 1961（昭和36）年
竣工 1962（昭和37）年3月15日
現況 現役
延長 57.00m

 
総幅員
=6.0m
車道幅員
=5.5m
中央高
=5.34m
有効高
=(N/A)
建築限界高
=4.5m
坑門
型式
起点 面壁
終点 面壁
覆工 Co T=30cm
舗装 Co T=20cm
照明 無し
換気 自然
排水 サイドドレーン
等級
 
非常用
設備		 無し

1958（昭和33）年道路構造令が改正され、戦時中手入れが不足した道路の荒廃を是正し、新たな時代に向けて更なる改良が全国で行われていった。その中で1962（昭和37）年に目無泊第2号に並行して山中第2トンネルを新設、目無泊第3号・目無泊第4号は1959（昭和34）年から1964（昭和39）年の間にオープンカットされた。

4代目

やまなか
山中
北海道 トンネルwiki ID：828427

 
浦河方坑口

基礎情報
振興局
  日高
振興局
起点
住所 様似郡様似町字冬島
座標 42.083668,143.008486
終点
住所 様似郡様似町字幌満
座標 42.080750,143.017396
図名
20万 5万 2.5万
広尾 えりも アポイ岳
幌満
用途 道路
路線名 一般国道336号
管理者 室蘭開発建設部浦河道路事務所
施工者 前田・岩倉特定建設工事共同企業体
設計者 中央コンサルタンツ
着工 1999（平成11）年11月
竣工 2002（平成14）年3月
現況 現役
延長 838m

 
総幅員
=11.25m
車道幅員
=6.5m
中央高
=(N/A)
有効高
=(N/A)
建築限界高
=4.7m
覆工 Co
舗装 Co
照明 LED
等級
 
非常用
設備		 有り

日高耶馬渓の崖下を通る本道路は落石が多かったため、この危険を取り除き多くの急カーブも解消する一般国道336号幌満防災が1988（昭和63）年事業化した。東冬島トンネル付近から日高耶馬渓・幌満川を越え旭地区に至る延長5.6km間に、山中工区（L=3.1km）・幌満工区（L＝1.1km）・旭工区（L=1.4km）の3工区を設け、山中工区には山中トンネルが新設された。

ギャラリー

  • 1代目(TID855860)浦河方坑口

  • 1代目(TID855860)坑内

  • 1代目(TID855860)えりも方坑口

  • 1代目(TID575382)浦河方坑口

  • 1代目(TID575382)坑内

  • 1代目(TID575382)えりも方坑口が崩落している

  • 2代目目無泊第2号(TID365324)浦河方坑口

  • 2代目目無泊第2号(TID365324)坑内

  • 2代目目無泊第2号(TID365324)えりも方坑口

  • 2代目目無泊第3号(TID223004)跡付近

  • 3代目山中第2(TID611981)浦河方坑口

  • 3代目山中第2(TID611981)えりも方坑口

  • 4代目山中(TID828427)坑内（点検のため消灯中）

  • 4代目山中(TID828427)えりも方坑口

  • 4代目山中(TID828427)工事銘板

  • 4代目山中(TID828427)工事銘板

  • 4代目山中(TID828427)には「小市郎トンネル」の愛称がある

  • 1代目(TID855860)・2代目目無泊第2号(TID365324)・3代目山中第2(TID611981)は並んで開口している

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