石崎漁港
いしざきぎょこう
石崎漁港
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石崎漁港トンネルは上ノ国町の石崎漁港の港口にあった航路トンネルである。
漁港の概要
石崎漁港は石崎川河口左岸に位置する第1種漁港である。右岸には居住に適した沖積地がありここに石崎の市街地が拓けている。一方左岸は河口を塞ぐように岬が伸び、湾状の地形をなしており漁港と館野の小集落を抱く。湾は堤防によって川と分断され、岬によって沖からの波風が防がれる良港で、時に第1種漁港の役割を越えて時化を避けるために避難してくる他港の漁船もあったという。漁港の機能集約のため2015(平成27)年2月16日付けで上ノ国漁港石崎分区となった。
トンネル式出入り口
漁港の建設は1933(昭和8)年9日10日着工。上ノ国の中心部はまだ港はなく、遠隔の地が先に築港することは異例であった。設計は北海道庁港湾課長の中村廉次で、欧米視察の結果持ち帰ったのがトンネル式の出入り口を持つ漁港だった。世界でも珍しく、当時東洋で唯一だったという。船の航路となるトンネルはTunnel de Malpas(フランス)、Shrewley Tunnel(イギリス)、Weilburger Schifffahrtstunnel(ドイツ)、琵琶湖疏水(日本)などいくつもあるがいずれも内陸運河であり、海に穿たれたものは現代でも非常に珍しい。工事は1933(昭和8)年11月完工の予定であったが川の増水や荒天に遭い翌年6月となった。7月には完成を祝して竣工式が行われた。
トンネルや港内は嵐によって砂礫に埋まることもあったがそのたび復旧させられ使い続けられた。石崎漁港は戦後まで上ノ国唯一の漁港であり、ここに船を置き他の地区から出勤するような漁家もあった。しかし漁船が大型化したためトンネルが狭隘になり、防波堤を移し岬の先端に水路を設け新たな港口とし、トンネルは1983(昭和58)年3月1日をもって廃止された。トンネルの内海側には荷上場が築設され現在は全く船の通行はできない。
2003(平成15)年1月31日国の登録有形文化財(建造物)に指定。2006(平成18)年2月17日未来に残したい漁業漁村の歴史文化財産百選に認定。