「蘭法華」の版間の差分

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2023年4月4日 (火) 18:42時点における最新版

蘭法華トンネルは登別市の蘭法華岬(富浦岬)に所在するトンネル。道路トンネル1本、鉄道トンネル3本(現用1本、廃止2本)の合計4本が存在する。「蘭法華」の読みは道路トンネルが「らんっけ」(『北海道の道路トンネル』)「らんっけ」(『道路現況調書』)、鉄道トンネルが「らんっけ」である。アイヌ語の「ran pok ke」(訳:坂の下の所)の音訳であるが、アイヌ語では「p」と「b」の音は特に区別しないのでどちらが間違いというわけではない。なお国土地理院の提供する電子国土によると岬の名前は「らんぼっけ」と読むのが正しい。


道路

らんほっけ
蘭法華

北海道 トンネルwiki ID:292002

登別方(東側)坑口
登別方(東側)坑口

基礎情報
振興局
Temp map iburi subpref.png 胆振
総合振興局
起点
住所 登別市富浦町二丁目
座標 42.441935,141.165481
終点
住所 登別市富浦町二丁目
座標 42.441812,141.164001
図名
20万 5万 2.5万
苫小牧 登別温泉 登別温泉
用途 道路
路線名 国道28号(-1952)
1級国道36号(1952-1965)
一般国道36号(1965-1972)
登別市道蘭法華通り線(1972-1995)
北海道道701号登別港線(1995-)
管理者 室蘭建設管理部登別出張所
施工者 伊藤・菱中・泰進特定建設工事共同企業体(改修工事)
設計者 北海道土木設計(改修工事)
工事費 4万3603.5円(新設工事)
着工 1931(昭和6)年5月15日(新設工事)
竣工 1932(昭和7)年3月19日(新設工事)
2022(令和4)年11月(改修工事)
開通 2022(令和4)年11月29日11:00(改修工事後)
閉鎖 2019(平成31)年1月25日14:50(改修工事前)
現況 現役
延長 115.50m(建設当初)
117.0m(ルーバー坑口時代)
131m(改修工事後)

Temp cross section road.png
総幅員
=(N/A)
車道幅員
=6.5m
中央高
=(N/A)
有効高
=4.7m
建築限界高
=(N/A)
坑門
型式
起点 面壁
終点 面壁
覆工 Co
舗装 Co
照明 LED
換気 自然
排水 サイドドレーン
等級
Temp tunnel class D.png
非常用
設備
無し

このトンネルは元々大正国道28号(現在の一般国道36号)のトンネルとして建設された。当時既に鉄道の蘭法華トンネルが存在し、これの海側に並行して建設された。1972(昭和47)年国道が新道に切り替えられ市道に降格、しかし国道の抜け道として交通量が増えたことから1995(平成7)年に道道に昇格した。後に富浦方坑口に覆道が付け足されたが、2003(平成15年)年9月26日に発生した十勝沖地震で一部が損傷し危険なことから撤去された。鉄板は素手で剥がせ、覆道はわずか約2時間で撤去が完了するほど腐食が進んでいた。2019(平成31)年1月に行われた点検では、塩害によるコンクリートの剥離等老朽化が著しく安全を確保できないことから25日14:50より通行止めの措置がとられた。2020(令和2)年夏に改修を開始し、2022(令和4)年11月29日11:00に通行止めが解除され新トンネルが開通となった。


鉄道(1代目)

らんぼっけ
蘭法華

北海道 トンネルwiki ID:416015

登別方(東側)坑口
登別方(東側)坑口

基礎情報
振興局
Temp map iburi subpref.png 胆振
総合振興局
起点
住所 登別市富浦町二丁目
座標 42.442333,141.162571
終点
住所 登別市登別港町二丁目
座標 42.442545,141.165792
図名
20万 5万 2.5万
苫小牧 登別温泉 登別温泉
用途 鉄道
路線名 室蘭線(-1909)
室蘭本線(1909-)
着工 1890(明治23)年11月6日
竣工 1891(明治24)年1月20日
開通 1892(明治25)年8月1日
現況 廃止・金網による閉鎖
延長 223m

Temp cross section rail-single.png
軌道数=単線
電化/非電化=非電化
軌間=1,067mm
坑門
型式
起点 面壁(レンガ4重巻)
終点 面壁(レンガ4重巻)
覆工 レンガ

北海道では炭鉱と港を結ぶ鉄道として空知から小樽に至る線があったが、天然の良港である室蘭港が開発されここへ至る北海道炭礦鉄道室蘭線(現在の室蘭本線)が建設された。開通したのは1892(明治25)年8月1日。

建設時のデータとして『隧道新書 実地応用』には次のように記録されている。

北海道炭礦線蘭法華隧道掘鑿用人員表(延長七百三十呎)
掘鑿個所 坑夫 平夫 木工 手傳 小計
導坑 四七七.五〇人 四二二.〇〇 三六一.二五 一二二.〇〇
第一切擴 七〇二.七五 五一六.七五 七一三.五〇 二一六.二五
第二切擴 二九三.二五 四二三.〇〇 三〇二.二五 八二.二五
第三切擴 六四一.五〇 七二八.五〇 二.二五 二四.〇〇
合計 二,一一五.〇〇 二,〇九〇.二五 一,三七九.二五 四二四.五〇
木材 三,九六〇本
矢板 一,二〇〇
四,二〇〇
同隧道疊築用人員表
工種 拱環 側壁 坑門 小計 記事
煉瓦職 八九二.二五 七四四.〇〇 一四〇.二五 一,七七六.五〇
同手傳 二,四六五.五〇 一,四八〇.〇〇 二四五.五〇 四,一九一.〇〇
斧指 一五四.〇〇 一五四.〇〇
同手傳 一二三.〇〇 一二三.〇〇
大工 一七九.二五 一三一.五〇 一五.〇〇 三二五.七五
同手傳 三九九.七五 一一〇.五〇 二七.五〇 五三七.二五
石工 二八七.〇〇 二八.〇〇 三一五.〇〇
同手傳 二五六.五〇 三六.〇〇 二九二.五〇
合計
拱架 四〇組
煉瓦 九〇四,七八二枚
膠灰 七〇四樽
石灰 二五七同
六〇立坪
側壁基礎用石 二,九二四立呎
坑門用石 九一同
坑門基礎混凝土用栗石 一.五立坪


導坑掘鑿期日表
但し本邦隧道の實測
隧道名 地質 延長 起工年月 貫通年月 一個月間掘進長
蘭法華 土石 七三〇 二三・一一 二四・一 二九二
隧道掘鑿期限表
但し導坑及切擴掘鑿工事毎月間の進行を呎數にて示す
隧道名 延長 導坑 第一切擴 第二切擴 第三切擴 第四切擴
蘭法華 七三〇 二九二 三七八 八七六 二八一
隧道疊築工事期日表
但し毎一個月間の進行を呎數にて示す
隧道名 延長 拱環巻 側壁積 仰拱巻 完成年月
蘭法華 七三〇 三〇九 二四一 二四・一二
隧道導坑積立期日表
但し積立に要したる日數を示す
隧道名 東南坑門 西北坑門 合日數 一個所平均 記事
蘭法華 二九 二九 五八 二九
隧道建設期限表
但し工事に要したる月數及び平均毎一個月間の竣工長を呎數にて示す
隧道名 地質 延長 起工年月 竣工年月 月數 毎一月竣工長
蘭法華 土石 七三〇 二三・一一 二四・一二 一四 五二


鉄道(2代目)

らんぼっけ
蘭法華

北海道 トンネルwiki ID:842505

登別方(東側)坑口
登別方(東側)坑口

基礎情報
振興局
Temp map iburi subpref.png 胆振
総合振興局
起点
住所 登別市富浦町二丁目
座標 42.442402,141.162536
終点
住所 登別市登別港町二丁目
座標 42.442678,141.165717
図名
20万 5万 2.5万
苫小牧 登別温泉 登別温泉
用途 鉄道
路線名 室蘭本線
開通 1926(大正15)年7月10日
現況 廃止・金網による閉鎖
延長 235m

Temp cross section rail-single.png
軌道数=単線
電化/非電化=非電化
軌間=1,067mm
坑門
型式
起点 面壁
終点 面壁
覆工 Coブロック

開通当初の北海道炭礦鉄道室蘭線(現在の室蘭本線)は単線であったが運炭量が増加し早々に複線化することとなった。1代目は単線トンネルであったため山側に隣接して2代目が穿たれ、1代目を上り線、2代目を下り線として使うこととなった。


鉄道(3代目)

蘭法華

北海道 トンネルwiki ID:498692

登別方(東側)坑口
登別方(東側)坑口

基礎情報
振興局
Temp map iburi subpref.png 胆振
総合振興局
起点
住所 登別市富浦町二丁目
座標 42.442493,141.162499
終点
住所 登別市登別港町二丁目
座標 42.443130,141.166307
図名
20万 5万 2.5万
苫小牧 登別温泉 登別温泉
用途 鉄道
路線名 室蘭本線
工事費 13億円
着工 1978(昭和53)年3月
開通 1980(昭和55)年6月23日
現況 現役
延長 322m

Temp cross section rail-double-electric.png
軌道数=複線
電化/非電化
=電化
軌間=1,067mm
坑門
型式
起点 面壁
終点 面壁
掘削
工法
NATM
覆工 Co
照明 蛍光灯

蘭法華トンネルは室蘭本線の電化にあわせ新たに複線のトンネルを掘りなおすこととなった。NATM工法での掘削は北海道初であったとされる。1979(昭和54)年7月17日に貫通し翌年6月23日に供用を開始した。これにより1代目・2代目は廃止された。


ギャラリー